FC2ブログ
 
■プロフィール

にしむらたずこ

Author:にしむらたずこ
医療ライター 兼 医学英語講師
プレミアム医学英語教育事務所代表 http://www.premium-english.biz/

仕事や暮らしの中で思ったことを書き留めています。

■最近の記事
■カテゴリー
■カレンダー

11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

■since 2007/01/18
臨床試験と治験
私が講師をつとめる実務翻訳コース中級「メディカル」の案内が、フェロー・アカデミーの通学講座サイトに載っています。概要は次のとおりで、今週末(2日)に体験レッスンがあります。
■受講期間:10/10 ~ 2018/2/20(全18回)
■曜日/時間:毎週・火/19:00~20:40 (100分)
■申込締切:9/29
http://www.fellow-academy.com/fellow/pages/school/practice/course07.jsp
ご興味のあるかたは、上記サイトをご覧になったり、直接フェローの事務局に問い合わせてみてください。

今日は、この講座の案内文にも載っている「臨床試験」と「治験」に関する雑感を書きます。
同講座の内容として、「メディカル翻訳の基本となる新薬の臨床試験(治験)から市販後調査までの流れを理解し、そこで発生するさまざまな文書の種類、内容、文書形式に応じた翻訳技術を身につけていきます」 とあります。

この「臨床試験」と「治験」、さらには「臨床研究」の違いをご存じですか? 同じことを指す場合もあれば、違う場合もあります。「臨床研究」という大きな円の中に「臨床試験」というやや小さな円が含まれ、さらに「治験」というもっと小さな円が含まれるというイメージです。この違いは、日本特有のものなんですよね。高血圧症治療薬ディオバンに関わる一連の事件は、薬事申請を要する(市販前)の臨床試験(治験)と市販後の臨床試験の法整備と品質管理の差から発生したのではないかと、最近 厚生労働省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 議事録」を読んでいて思います。

この検討委員会の第2回議事録と資料は、かなり勉強になります。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=148236

資料2-1の説明として、欧米の臨床試験について紹介したあとで、日本について
「日本の実態を治験と臨床研究、あるいは臨床試験として分けていますが、日本は治験というものが薬事法にのっとって行われますが、かなり厳しい基準で進められるのに対して、薬事申請を意図しない臨床研究、臨床試験に関しては、臨床研究に関する倫理指針が主に対応しますが、ソフトローと言いますか、ここの2段目に書いてあります大臣告示に従うもので、別に法律的に遵守することを求められているわけではないということが、各国との大きな違いだと思います。
 それからここに「治験」と書きましたが、日本以外では治験という言葉はありません。治験というのは日本独特の言葉でして、海外はクリニカル・トライアルという言葉が一元的に使われておりますので、この辺が患者さんにとっても日本の中では治験と、それ以外の臨床試験が同じように使われていることが、混乱を招いている1つの原因かもしれません。」

「臨床試験のデータの品質管理ですが、これは各国とも米国、欧州とも、それから日本の治験ではデータの内容の品質の管理、あるいは品質の保証というのはしっかり求められております。ただ、例外は日本の臨床研究に関する倫理指針で、これは今議論されていますが、臨床試験のデータの品質をチェックする機能というのが、ガイドラインには今のところ入っておりません。」

上記は、2013年9月2日におこなわれた委員会での藤原委員の発言内容から抜粋させていただきました。
この委員会(計5回)のあとに「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」が開かれ、最終的に平成29年4月に「臨床研究法」が公布されました。ディオバン事件に端を発し、新たな法律が制定され、日本の市販後の臨床試験は変わりつつあるとはいえ、海外でクリニカル・トライアルという言葉が一元的に使われるような状況ではありません。

メディカル翻訳の講座をやっていると、「治験の翻訳がやりたいんです」とか「治験翻訳は別のところで勉強しました」という人がけっこういますが、こういう背景を知っている人はどれくらいいるのかなと思う今日この頃です。


メディカル翻訳・ライティング | 18:37:30

FC2Ad