FC2ブログ
 
■プロフィール

にしむらたずこ

Author:にしむらたずこ
医療ライター 兼 医学英語講師
プレミアム医学英語教育事務所代表 http://www.premium-english.biz/

仕事や暮らしの中で思ったことを書き留めています。

■最近の記事
■カテゴリー
■カレンダー

11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

■since 2007/01/18
分析方法の違いにより結果が異なる
26日(金)に公開された論文紹介記事です。

Eur Heart J誌から
非弁膜症性心房細動患者の脳梗塞発症に性差なし
健康保険データベースを利用したコホート内症例対照研究の結果

 研究背景として、心房細動患者は脳梗塞のリスクが高く、そのリスク因子として「女性」を挙げる報告が複数あります。つまり男性より女性の方がリスクが高いと。 私も下調べをしたときに、日本語でもそのような解説文を読みました。しかし、この論文の著者らは、実際に性差があるのではなく、交絡因子の扱いによって差が生じているのではないかとの仮説を持ち、カナダの健康保険データベースを用いて、後ろ向きコホート研究を行いました。

 本研究では2つの分析方法を用いています。最初に行った分析は、コックス比例ハザードモデルを使用したもので、その結果では、女性は男性より脳梗塞の発症リスクが少し高く出ました(HR:1.16、95%CI :1.11-1.21)。しかし、2つ目の分析(コホート内症例対照分析)の結果は、男性と女性のリスクに有意な差はありませんでした (RR:1.01、95%CI :0.97-1.05)。感度分析の結果でも、女性の脳梗塞のリスクは、いずれのサブグループにおいても、男性より高いことはありませんでした。

 考察では、なぜこのように異なる結果が出たのかについての議論が展開されていました。コホート内症例対照分析では、症例と対照の年齢を厳密にマッチさせて、より正確な補正を行ったことが効いているのではないかと述べていました。

 前回述べたように、データベースを使った研究が進めば、リアルワールドの状況が明らかになるでしょうが、分析方法がより精緻化、複雑化してくるので、ライターも読者も、研究動向をある程度フォローしてないと、分析方法の違いから生じる結果の違いを理解するのが難しくなります。  たいへんな時代になってきました。


メディカル翻訳・ライティング | 12:56:03

FC2Ad