FC2ブログ
 
■プロフィール

にしむらたずこ

Author:にしむらたずこ
医療ライター 兼 医学英語講師
プレミアム医学英語教育事務所代表 http://www.premium-english.biz/

仕事や暮らしの中で思ったことを書き留めています。

■最近の記事
■カテゴリー
■カレンダー

11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

■since 2007/01/18
受験科目としての医系小論文
 今日は「受験科目としての医系小論文」について、最近思ったことを書き留めておきたいと思います。多くの私大医学部や医療系学部では、小論文も点数化される科目になっているようで、過去問をまとめた問題集や、答案を書くためのネタを集めた参考書が多数出版されています。本の構成としては、他の受験科目と同様に、冒頭に出題傾向の分析を載せて、その後に対策・書き方の指南が続きます。

 出題されるテーマは、患者-医療者関係、インフォームド・コンセント、生命倫理の原則、がん告知、チーム医療、遺伝子診断・先端医療、脳死・安楽死・尊厳死、生殖医療・出生前診断、地域医療、感染症、環境問題、格差社会など様々です。単に「チーム医療について述べよ」のような出題文もありますが、多くはA4に2枚程度の文章を示した上で、それに関係する設問が2~3題あり、最後に「あなたの考えを述べよ」というパターンが多いようです。出題文として、東大院時代にお世話になった大井玄先生の他、日野原重明先生、田原総一朗氏の著作を引用しているものもありました。

 文字数は多い場合、60分で800字程度を書くことを求められます。解説や解答例は、予備校のトップクラスの小論文講師が執筆しているようで、ほとんどは「よく書けているなあ」と感心する内容でした。正直なところ、これらの問題集をある程度こなせば、3年間お世話になった国際医療福祉大学大学院での研究倫理の講義(数時間)よりも教わる内容は、はるかに広範で深くなります。

 もし、これらの問題を現役の医療者、医療ジャーナリストに示したら、一体どんな答案を書くのだろう? それらは受験生の答案より良質なんだろうか? と考えます。

 ただ一方で、受験科目として小論文を課すことに対する疑問も感じました。明らかに書き方のノウハウがあります。受験生の研ぎ澄まされた頭であれば、「なるほど、こういう形で書けば高得点になる」というのが容易に理解できるでしょうから、倫理問題について「考える」というより、模範解答に近づけることを目標にするでしょう。得点をつけるのだから当たり前の話で、受験生に罪はありません。

 いろいろ書きましたが、疑問に感じるところもあるとはいえ、医学部・医療系学部を志望する学生が、医療の直面する課題を知らずに入学するのは望ましくないと思うので、学科試験だけでなく小論文を課すことは、これから教育を行う大学側にとってもメリットがあると思いました。 


学術 | 10:00:05

FC2Ad