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新型コロナ入院患者が血栓塞栓症や出血を起こすリスクは本当に高い?

26日公開の海外論文紹介記事です。

Clin Infect Dis誌
COVID-19患者の静脈血栓塞栓症リスクはインフルエンザ患者と大差なし
デンマークのレジストリ研究

デンマークの国民レジストリと新型コロナ入院患者の診療記録を使った研究です。コロナ陽性患者の静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは、過去のインフルエンザ患者集団のVTEリスクと大差がなかったとのこと。出血リスクも調べています。
治療時はつねにリスク回避への配慮が必要ですが、コロナだから特にVTEや出血リスクが上昇するわけではないことも知っておいていいと思います。

コロナ対策はインフルを含む呼吸器系ウイルス伝播を低減するらしい

昨日公開の海外論文紹介記事。以下、タイトル&リードです。

Clin Infect Dis誌
「SARS-CoV-2の感染封じ込め策で他の呼吸器系ウイルスの伝播が低減」 
米国2大都市で非薬剤的介入の効果を検証
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/infection/202011/567933.html
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自宅待機令、学校や小売店の閉鎖、公共の場でのマスク着用、ソーシャルディスタンスや手指衛生といった非薬剤的介入(NPI:non-pharmaceutical intervention)の効果を検討するため、米国の2大都市における呼吸器系感染症の発生状況を今シーズンと過去のシーズンで比較したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の伝播を低減するために実施された公衆衛生的施策は、他の呼吸器系ウイルスの伝播を有意に低減したことが示唆された。本論文はClin Infect Dis誌11月8日電子版に掲載された。
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米国2大都市とは、アトランタとボストン。呼吸器系ウイルスとして検討したのは、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、RSウイルスです。著者らは、米国における2つの地理的に離れた都市からのエビデンスとして、非薬剤的介入(公衆衛生的施策)が、A型インフルエンザとB型インフルエンザ、RSウイルスの感染機会を減少させる点で有益だったと述べています。

結核患者の治療・隔離期間の短縮化と検査法の関係

23日(金)に公開された論文紹介記事です。難解な論文で要約に苦労しました。

抗菌薬ピラジナミド耐性と喀痰培養陰性化の関係
多剤耐性結核患者の治療・隔離期間の短縮化に有用な検査法とは?
Clin Infect Dis誌
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/infection/202010/567633.html

本論文の結論は、遺伝子型の薬剤感受性試験(gPST)と最小発育阻止濃度(MIC)測定試験の組み合わせです。

新型コロナは 数カ月おけば 2回かかることもある

数日前のブログで少し触れましたが、26日(土)に日経メディカルオンラインで公開された海外論文紹介記事です。

Clin Infect Dis誌
香港33歳男性の新型コロナ2回目エピソードは「再感染」が濃厚
遺伝子系統樹を含む各種分析結果より
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/infection/202009/567311.html

3月に香港でコロナ感染し回復、8月に欧州渡航から戻った際の空港PCR検査で陽性が判明した33歳男性の検体について、遺伝子系統樹分析、ウイルス量評価などを行った結果、初回感染の「再燃」ではなく「再感染」が濃厚だというClin Infect Dis誌の論文です。
難解で要約の難しい論文でしたが、臨床経過と各種分析結果を繋げて理解できるように工夫したつもりです😊

記事作成にあたり、山形県衛生研究所 微生物部の「季節型コロナウイルスの疫学研究」等にも関わっておられる小児科医の板垣勉先生に色々ご助言をいただきました。

記事の最後の2パラグラフは次のようにまとめました。
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 著者は、2回目以降の感染が初回感染よりも軽症になることはあっても、集団免疫がSARS-CoV-2を撲滅できる可能性は低く、ヒト集団を循環し続ける可能性がある、と指摘している。229E、OC43、NL63、HKU1といった季節型コロナウイルスでは再感染は比較的よくみられる現象で、特定の抗体が相応なレベルで存在する場合でも再感染が起こることはある。ワクチンがCOVID-19に対して一生涯の防御をするとは考えにくく、ワクチン研究はCOVID-19からの回復患者も組み入れるべきだ、と主張している。

 結論として著者は、有症状のCOVID-19感染から4~5カ月後には再感染の発生可能性があるとし、感染歴がある人々へのワクチン接種の検討と共に、既感染者もマスク着用やソーシャルディスタンスなどの疫学的予防策に従うべきだ、と述べている。
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HPVワクチン関連の話題

HPVワクチン関連の話題で、私の担当した論文紹介記事も含めて、日経新聞、日経メディカルオンラインの記事3報を送ります。

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日本経済新聞 2020/7/21 23:38

「子宮頸がんワクチン承認、米メルク日本法人が発表」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61806220R20C20A7EAF000/

9価の「シルガード9」が承認されました。当面は自費の接種だそうです。

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日経メディカルオンライン 2020/07/21

HPV16/18型ワクチンを接種した中国人女性を対象とした分析結果
「膣感染症とnonHPV16/18持続感染に関連性なし」
J Infect Dis誌
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/infection/202007/566436.html

HPV16/18型ワクチンの治験参加者のデータを利用して、細菌性膣症などの一般的な膣感染症が16型・18型以外のヒトパピローマウイルス(HPV)感染やその持続に与える影響について検討したところ、膣感染症とワクチン対象ではない型のHPV(non-HPV)感染の6カ月持続の間に有意な関連は認められなかった。

*中国での研究です。HPVワクチン接種が広く行われるようになり、ワクチン対象外のHPV感染とその持続に関連したリスク因子が重要になってきたという背景から、治験データを使った分析を行ったとありました。

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日経メディカルオンライン 2020/07/21

「HPVワクチン、国の新リーフレット案を審議」
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t354/202007/566469.html

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関する国からの情報提供の際に用いるリーフレットの新たなレイアウト案が厚労省から示された。「現行のものと比べて劇的に読みやすくなった」などと委員たちから高評価だったものの、内容や表現について、追加の見直しを求める指摘も相次いだ。
(略)
新たなレイアウト案では、「このご案内は、小学校6年~高校1年相当の女の子やその保護者の方に、子宮けいがんやHPVワクチンについてよく知っていただいた上で、希望される方に接種していただけるよう、おすすめするお知らせをお送りするのではなく、みなさまに情報をお届けするものです」という表記に改めた(図2)。

*↑これで読みやすくなったの?とツッコミを入れたくなりますが…
9価のHPVワクチンの情報は、今回のレイアウト案には盛り込んでいないようです。担当者は「仮に9価のワクチンが承認されても、リーフレットにその情報を反映するのは定期接種化が決まってから。それにはまだ時間がかかると思われるので、まずは2価・4価のワクチンの情報のみを記載した」とのこと。

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プロフィール

にしむらたずこ

Author:にしむらたずこ
医療ライター 兼 医学英語講師 東京大学大学院工学系研究科 特任研究員
プレミアム医学英語教育事務所代表 https://www.premium-english.biz/

仕事や暮らしの中で思ったことを書き留めています。

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