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西村多寿子のブログ
器用貧乏なメディカルライターの備忘録

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にしむらたずこ

Author:にしむらたずこ
医療ライター 兼 医学英語講師
プレミアム医学英語教育事務所代表 http://www.premium-english.biz/

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今年最後の海外論文紹介記事

今年最後の海外論文紹介記事です。
心毒性リスクのある抗がん剤を投与すると心不全の進行する患者はどれくらいいるのか? どの抗がん剤の組み合わせが心不全悪化と関連するのか? 循環器とオンコロジーをまたぐクリニカルクエスチョンを提起して検討しています。

JACC Heart Fail誌から
癌化学療法開始後に心不全ステージは進行する?
治療開始3カ月後の心不全進行の有無から長期予測できる可能性

平成最後の年、個人的にも大きな変化のあった1年でした。でも、この論文紹介の仕事は、ありがたいことに長く続けさせていただき、基礎研究に近い領域から、この論文のように実臨床のクリニカルクエスチョンに基づいた臨床研究まで、幅広く対応できるようになってきました。継続は力なりですね。来年は、日本の臨床研究がよりよくなるように、私の立場から何か発信できるようになりたいと考えています。 来年もよろしくお願いいたします。

心不全バイオマーカーの有用性を検討したメタアナリシスの結果

先週公開された海外論文ピックアップの記事です。
J Am Coll Cardiol誌から
sST2は慢性心不全患者の予後予測に有用
6つの臨床研究の患者データを用いたメタアナリシスの結果

心不全バイオマーカーの予後予測能を比較検討する研究で、新規バイオマーカーの「sST2」は、NT- proBNPやhsTnTと共に検査に加える価値がある、と結論づけています。この研究手順がけっこう面倒で(他マーカーと独立して有用か、組み合わせて有用かなどを検討)、読者には面白くないかなと思いつつも、研究方法と結果を説明しないと結論が導けないので、本文を訳すというよりは、図表を読み解いて伝えるようにしました。

専門医が読むジャーナルを要約するのはタイヘン

京都に行く前に書いた論文紹介記事が10月末に公開されていました。時間がたっているので、自分がどう書いたか覚えておらず、一読者として通読してみました。

J Am Coll Cardiol誌から
心房細動の癌患者は心臓専門医の評価を受けて
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201810/558462.html

米国の保険請求データベースを使った研究です。がん患者さんはがん専門医にかかっていることが多く、心房細動があっても心臓専門医の評価を受けることが少ないことが背景にある模様。でも心房細動が出たら心臓専門医に評価を受けて、そちらの治療もきちんと受けるほうが、脳卒中リスクが低下していたようです。まあ当たり前といえば当たり前の話ですが、メッセージとしては、「心房細動の癌患者は心臓専門医の評価を受けてほしい」ということだろうなあ、と思ってそうしました。原著論文のタイトルは、Provider Specialty, Anticoagulation, and Stroke Risk in Patients With Atrial Fibrillation and Cancer (心房細動とがんを有する患者における、医療提供者の専門性、抗凝固薬、脳卒中のリスク)ですから、もっと中立的です。でも記事なんで、メッセージ性の強いタイトルにしました。

この医学ジャーナル、J Am Coll Cardiol誌は、正式には、Journal of American College of Cardiology といって、ACC(American College of Cardiology、アメリカ心臓学会)が発行しています。要は循環器領域の臨床研究者が目標にするメジャーなジャーナルでして、ハッキリ言って、NEJMとかLancetのように広く色んな領域の医師が読むジャーナルよりも要約するのが難しいんです。そもそも専門医の中で常識的なことはすっ飛ばして書いてあるし、論理展開がわからないと、なんでこの項目を調べたのかが、さっぱり見えてこない。そんなわけで、かなり苦労して要約して、結論にこぎつけて、そこからのメッセージをタイトルにしたとご理解ください。

米国の高血圧ガイドラインは中国でも使えるか

ノーベル医学生理学賞に京大の本庶教授が選ばれたニュース、最近、京都と縁のある私は何だか嬉しいです。 
 さてさて、しばらく間があいてしまってすみません。仕事に加えて、私自身も論文を書いているので、データ解析やインタビューで忙しくしています。それについては、きちんと形になったら紹介しますが、今日は中国発の研究論文の紹介記事です。

J Am Coll Cardiol誌から
ACC/AHA新基準「ステージ1高血圧」は有用か
中国地域住民コホート研究のデータをもとに検討

米国の高血圧ガイドライン2017で定義された「ステージ1高血圧」を他国で採用した場合にどうなるか、中国の研究者が自国のコホート研究のデータを用いて検討しています。


足の動脈血栓とがんの関係

6日に公開された海外論文紹介記事です。

 Circulation誌から
 下肢動脈血栓症は不顕性癌のマーカーに
 特に喫煙に関係する癌でリスク上昇
 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201809/557648.html

 がん患者さんに静脈血栓塞栓症が多いことは知られていますが、静脈ではなく動脈について、つまり足の動脈血栓とがんの関係について調べた論文です。この研究ではデンマークの患者レジストリを使ったとのこと、国民全体の悉皆調査(対象全てを調べること)ができるのが、デンマークやスウェーデンの研究の強みだと思います。

 ところで、昨日まで、フェロー・アカデミーの通信講座で扱っている英語論文(出題文)の翻訳答案の添削をしていました。訳すのも難しかったですが、サブグループ解析の内容を説明する解説文を書くのが超むずかしくって、時間をかかけて、いろんなサイトを調べまくりました。紹介記事を書くときは、1週間で仕上げないといけないこともあって、自分の理解が曖昧な部分は要約にせずに済ましてしまいますが、講師として、訳例を提示して、どうしてその訳になったかを、英語文法的に医学的に統計学的に説明をするとなると、ごまかしがききません。人に教えると共に、自分の学習にもなっていると思います。