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プラハ、ウィーン、モスクワの旅

 令和のはじまった5月1日から12日まで、中欧のプラハとウィーン、そしてモスクワに行ってきました。写真は左から、プラハのカレル橋から眺めたプラハ城、ウィーンの楽友協会黄金ホール、モスクワ赤の広場にある聖ワシリイ大聖堂です。

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それぞれ沢山のエピソードがありますが、旅のハイライトを書きます。

 プラハでは、夫がプラハマラソンに参加しました(5月5日)。日本でもお馴染みの「モルダウ~わが祖国より」がスタートラインに流れ、約1万人のランナーが走りだしました。モルダウ川沿いや、カレル橋をはじめ世界遺産の街プラハを巡る周回コース。チェコ人の友人が大会関係者だったので、私は特等席でトップランナーのゴールや、夫の走る姿を観戦することができました😉 今回、女子は2時間20分を切る大会記録が出た高速コースですが、制限時間は7時間でご高齢のランナーも周りからの声援をうけ、元気に走っていました。

 ウィーンでは、楽友協会ホールで開かれたモーツァルトコンサートに行きました。ニューイヤーコンサートをご覧になったことのあるかたは、ホールの内装に見覚えがあると思います。観光客向けの演奏会なのでドレスコードはないに等しく、気楽に楽しめる演奏会でした。 18世紀当時の衣装を着た楽団員がアイネクライネナハトムジークなどを演奏し、「フィガロの結婚」や「魔笛」などのオペラから有名な曲を男女の歌手が歌いました。アンコールは「美しく青きドナウ」と、お決まりの「ラデツキー行進曲」で曲にあわせて手拍子しました😉 前から3番目の席だったので、演奏家たちの衣装を間近で見ることができました。

 モスクワ滞在は1日だけだったので、クレムリンと赤の広場を駆け足で回りました。EU圏内を動くよりロシア入りは緊張しましたが、衛兵交代式もみられたし、短い時間で充分楽しめました😊 クレムリンは「城塞」という意味で、モスクワのクレムリンの中に、現在の政治の中枢機能が置かれ、同じ敷地内にロシア正教会の聖堂や歴代皇帝の霊廟、軍事博物館もあります。オーストリアのハプスブルク家の宮殿は広いなと思いましたが、ここは建物も敷地も「巨大」で、どのアングルも一枚の写真にとても収まりきりませんでした。
 赤の広場には、聖ワシリイ大聖堂やレーニン霊廟、グム百貨店(銀座のすべての百貨店を合わせたより大きな百貨店)があります。 グム百貨店の1階には、西側の高級ブランド店が立ち並び、ロシアのお土産が一通り揃う高級スーパーもありました。

 利用した航空会社アエロフロートは、旅行中に事故があったので、それ以降に乘るのは少し怖かったですが、機体は新しく、トイレは清潔、食事もふつうに食べられ、昔のダークな印象は払拭されました。今回のモスクワは飛行機のトランジットを使っての短期滞在でしたが、次回はロシア旅行をメインにして、サンクトペテルブルグにも行ってみたいです😊

 約2週間の旅行中、ホテルではBBCを見ていました。日本からのニュースは、株式市場でのNikkei株価をのぞき、一度も遭遇しませんでしたが、米中の貿易摩擦やアメリカ政治の動向はほぼ毎日報道されていました。世界情勢でも観光地でも、中国や中国人の存在感が増す一方、日本や日本人は相対的に影が薄くなってるのではないでしょうか。
 赤の広場での軍事パレードやプーチンの姿勢は日本の将来にも深く関わります。世界情勢と日本の立ち位置について、もっと感度をあげていく必要があると感じた旅でもありました。 

研究目的が多岐にわたる論文の要約は難しい

循環器専門の米ジャーナル JACC誌に掲載された臨床研究論文の紹介記事が、本日公開されました。

J Am Coll Cardiol誌から
ブルガダ症候群若年患者、不整脈再発のリスク因子は?
ブルガダ症候群の若年患者を対象にした過去最大規模の観察研究
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/201904/560704.html

ブルガダ症候群の若年患者の疫学調査に加え、致死性の不整脈イベントの再発リスクを検討しています。研究目的が多岐にわたる論文は、少ない字数で要約するのが難しいです。この論文の場合(以下、記事から引用)、

研究目的は、 (1)20歳以下で、不整脈イベント歴のあるブルガダ症候群患者について、心電図ならびに臨床的・電気生理学的・遺伝的特徴を調べる、(2)対象患者を小児群(12歳以下)と青年群(13歳から20歳)に分けて特徴を比較する、(3)初発の不整脈イベント後の管理と経過、および不整脈イベント再発の予測因子について評価する――とした。

目的を書いたら、それに対応する結果と結論も書かないと、読み手は消化不良になってしまいますよね。まあ記事を読んで、内容に興味をもった方は、原著にあたっていただければ、紹介記事の役目は果たしたことになると思いますが… この論文については、フルテキストのダウンロードは有料のようです。
http://www.onlinejacc.org/content/73/14/1756

東大での同窓会と上野千鶴子さんの入学式祝辞

 東大入学式の翌日(13日)、20数年前にお世話になった東大の保健学系研究室にゆかりのある方々との同窓会(研究シンポジウム&食事会)がありました。シンポジウムのタイトルは『地域における健康課題と公衆衛生学研究の動向について』でしたが、幹事の方がお声かけくださり、4人の登壇者の中の1人として、私の学位論文の内容も発表する機会をいただきました。
 ほかの方の発表は、妊孕性、地域包括ケア、互酬性(reciprocity)を意識した地域看護実践、とさまざまでしたが、同研究室で学んだ「公衆衛生学研究」あるいは「社会医学」「疫学」といった考え方がベースにあれば、どの話も面白く、研究の詳細はわからなくても、全体像とその人のスタンスはある程度理解できるものだと思いました。

 上野千鶴子さんの祝辞が話題を呼び賛否両論あるようですが、私はフェミニズムうんぬんより、結びの部分に感動しました。私自身は、東大には学部生ではなく大学院修士時代の数年間お世話になっただけですが、彼女の祝辞の後半にある「東京大学で学ぶ価値」に関しては、他大学で博士号をいただいた今でもその恩恵を享受していると思っています。
 その上で、「あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。(略)あなた方には、東大ブランドがまったく通用しない世界でも、どんな環境でも、どんな世界でも、たとえ難民になってでも、生きていける知を身につけてもらいたい。大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことのない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。知を生み出す知を、メタ知識といいます。そのメタ知識を学生に身につけてもらうことこそが、大学の使命です。」の言葉に偽りはないと思います。
 同窓会の発表者や参加者は、私より若い方が多かったのですが、それぞれの研究や実践の場で、知を生み出す努力をしていることを知り、とても嬉しく、また励みになりました。

翻訳は簡単ではない

 この数ヶ月、認知症関連の臨床試験論文(介入研究)の全文和訳と、英国人が執筆した看護系の大学院教育に関する論説文の和訳に断続的に取り組んでいますが、どちらのほうが英文法の知識を要し、日本語表現が難しいかというと圧倒的に後者です。アカデミアと実践活動(看護の仕事)をどうつなぐかみたいな議論をしているのですが、一文が長く文脈依存で、andが複数出てくると、どこがどこにかかるか一読では理解できないことがあります。

 臨床試験、その中でも治験など薬事申請のルールに基づき作成されるドキュメントの翻訳は、近い将来、AI翻訳が幅をきかせる可能性が高いと思いますが、臨床試験の範疇にない臨床研究、特に質的研究とか看護系の研究については、機械翻訳の導入はまだしばらく無理でしょう。翻訳しながら思っていることですが、いままで和訳された看護系の文献は、訳者がその分野の専門家であっても、きちんと英文法を理解していない場合、かなりの誤訳が含まれている可能性がありそうです。

 EBM(Evidence Based Medicine)に対して NBM(Narative Based Medicine)という言葉がありますが、ナラティブベースト-物語や対話に基づく―というのは、話や語りの文脈を理解しないといけないので、日本語であっても表現や解釈が難しいことがあります。英語話者のナラティブを、社会文化背景の異なる日本人が日本語で理解するというのは、たとえ誤訳のない文書を通してであっても、かなり難しいことではないかと思います。 

 それでも、療養中や退院後の患者さんやご家族の生活を支えるにあたり、看護の視点はとても大事だし、日本の看護系大学には看護師や看護研究者の育成を担う役割があるので、海外のいいところを取り入れつつ、研究や実践活動を発展させてほしいと思います。そしてまた、日本の看護のよいところを海外に発信していけることを願っています。
プロフィール

にしむらたずこ

Author:にしむらたずこ
医療ライター 兼 医学英語講師
プレミアム医学英語教育事務所代表 http://www.premium-english.biz/

仕事や暮らしの中で思ったことを書き留めています。

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